汚された飼育委員

 飼育委員・よし子に芽生えた静かなる殺意。それは自らが世話しているうさぎたちに対するものだった。夜中こっそりと飼育小屋に忍び込み、うさぎたちの飲み水を濃硫酸と取り替える。後はこれが自分の犯行だとばれないように、自分の殻に閉じこもるだけでオーケイだ。指紋は確かに拭き取った。アリバイも考えた。シャワーも浴びた。心の準備は出来た。初夜を迎える処女のように繊細な心境で、よし子は飼育小屋を後にした。でもたばこ屋の角を右に曲がったところで大きなヤギに食われた。